夕食を作り終えるころには、もう何も考えたくない。以前の私は、食事を用意するだけで毎日ぐったりしていました。

料理そのものが、それほど嫌いだったわけではありません。それなのに、なぜこんなに疲れるのだろう。

考えてみると、私がしていたのは調理だけではありませんでした。

「今週は何を食べよう」という問いの中で、いくつもの条件を毎日組み合わせていました。

わが家は3人家族です。

夫には、医師から受けている食事上の指示を前提に、塩分などへ配慮したい条件があります。19歳の息子は痩せ気味で、食べ応えのある料理が好きです。私は、体重を落とさず食事量を整えながら、美容面も意識したいと考えていました。

ONE WEEK少なくとも 28
朝食 7回私の昼食 7回夫のお弁当 5回息子の昼食 2回夕食 7回

献立を考えるのが疲れるのは、料理名が思いつかないからだけではありません。

条件の違う食事を、毎日、一から組み合わせ直していたからでした。

私が減らしたかったのは、料理そのものではありません。毎週、同じ条件を思い出し、考え直すことでした。

この仕組みができたのは、4か月前です。それから今朝まで、その日の献立が毎日届いています。

最初にしたのは、献立を考えることではありませんでした。

01 最初に渡したのは、献立ルールではなく「家族の状況」

最初から、「夫のお弁当はこの量にする」「私の昼食にはアボカドを取り入れる」「この曜日はスパイスを使う」といったルールを、すべて自分で考えたわけではありません。

AIに最初に伝えたのは、もっと手前にある家族の状況でした。

こうした事実を伝え、「この家族なら、毎日の食事をどのように組み立てると無理なく続けられそうか」をAIに相談しました。

最初の指示は、難しいものでなくても大丈夫です。

FIRST PROMPT

わが家の食生活を一緒に整理したいです。
これから家族構成、体格、食事で気をつけたいこと、好き嫌い、生活パターン、今後どうしたいかを伝えます。

まず内容を整理してください。
献立を考えるために不足している情報があれば、必要なことだけ質問してください。

情報が揃ったら、家族それぞれについて食事で意識するとよさそうなことを整理し、「わが家の献立ルール」の案を作ってください。

最終的な内容は、私と確認しながら決めたいです。

完璧なプロンプトを、最初から用意する必要はありません。AIと話しながら、家庭の条件そのものを整理していきます。

02 家族の事実を、毎週使えるルールに変える

AIとの対話を重ねるうちに、わが家では次のような献立ルールができました。

OUR MEAL RULES
  • 平日はお弁当。量の目安を決め、食事上の条件に配慮する
  • ひとりで食べる昼食でも、エネルギーと栄養を補いやすくする
  • 息子食べられる魚と、使わない食材を明確にする
  • 家族全体決まった曜日は、スパイス料理も候補に入れる

夫と息子の昼食も、すべてを別々に作るわけではありません。

同じ鶏むね肉と副菜を使い、最後の味付けだけを分ける。夫の分は食事上の条件に配慮し、息子の分にはスパイスを加えて食べ応えを出す。

共通にできる部分は共通にし、条件が合わない部分だけを変える。

この考え方も、AIとの対話から生まれました。

AIに渡したのは、完成した答えではありません。家族についての事実を渡し、AIとの対話を通して、毎週使える判断基準に整理した。ここが、最初の設計でした。

03 AIの提案を、そのまま正解にしない

AIが提案したものを、すべて正解として採用するわけではありません。

「これは続けられそう」「この食材なら取り入れやすい」「この方法は、わが家には合わない」と、一度自分で確認します。

私の場合は、食事量が落ちていた時期に提案された食材やメニューを、平日の昼食へ少しずつ取り入れました。

食事全体を見直す中で、落ちかけていた体重は戻り、現在はその状態を維持しています。AIの提案だけが理由とは言えませんが、何をどのように食事へ加えるか、選択肢を整理する助けにはなりました。

わが家では、家族の情報を細かく伝え、ルールを作ってから献立へ進んだため、現在は1週間分の献立を大きく修正せず使えることがほとんどです。

最後に決めるのは、人

栄養量の数値や健康面の説明まで、AIが常に正しいとは限りません。健康に関わる判断まで、AIに任せるわけではありません。医師から受けている指示を優先し、AIには条件整理と献立候補を任せる。最後に確認し、決めるのは人です。

04 一度決めた条件は、毎週説明しない

AIに献立を考えてもらい始めたのは、約半年前です。試行錯誤を重ね、現在の形になったのが4か月前。それから一度も、家族の条件を説明し直していません。

以前は献立を考えるたびに、「夫にはこの配慮が必要で、私は食事量を落としたくなくて、息子はこの食材が苦手で……」と、条件を頭の中で並べ直していました。

今は、一度整理した家族プロフィールわが家の献立ルールを、次回も使える形で保存しています。

毎週伝えるのは、その週だけの変更点です。

ONLY THIS WEEK

今週は水曜日に外食します。

暑い日が続くので、火を長時間使う料理は少なめにしてください。

冷蔵庫に、さつまいもが3本残っています。

家族の基本情報を、毎週説明し直す必要はありません。

変わらない条件は保存し、変わった部分だけを伝える。

私がいちばんラクになったのは、この部分でした。

05 私の場合は、ここまでつなげています

ここから先は、私が試行錯誤してつくった完成形の一例です。最初から、同じところまで自動化する必要はありません。

現在は、Claudeを使って献立を整理し、毎週土曜日に翌週1週間分の献立と買い物リストがLINEへ届くようにしています。

買い物リストには、必要な量、家にある在庫、今週は買わなくてよいもの、誰のために使う食材か、残っている食材を何曜日の何に使うかまでまとめられています。

毎朝8時には、その日の天気と朝・昼・夜の食事、必要な食材、簡単な手順、家族ごとの味付けまで整理されたメッセージが届きます。

以前は朝になると、天気予報を開き、献立表を確認し、レシピを探し、冷蔵庫にあるものを思い出していました。今は、考え始める前に、今日必要な情報が揃っています。

私がやめたのは、献立を考えることだけではありません。必要な情報を、自分から探しに行くことでした。

でも、この記事でいちばん伝えたいのは、この自動化部分ではありません。

家族の条件を一度整理して保存し、翌週からは変更点だけを伝える。まずは、ここまでで十分です。

スマートフォンやパソコンのメモに家族プロフィールの原本を残し、新しい会話の最初に貼り付ける方法でも始められます。

必要のない個人情報は入力しない

体格や健康面の情報を扱う場合も、氏名、住所、受診先など、献立作りに必要のない個人情報まで入力する必要はありません。

仕組みの中身をどう組んだかは、献立を支える「ひとつの原本」の記事に分けて書きました。この記事は、その手前までです。

「便利なプロンプト」より、「繰り返さない仕組み」

AIを使っていると、便利なプロンプトをたくさん集めたくなることがあります。

毎回うまく質問することより、そもそも毎回質問しなくて済む仕組みをつくる方がラク。

献立も同じでした。

毎週、「何を作ろう?」から始めるのではなく、一度だけ、「わが家は、何を基準に献立を決めるのか?」を整理しておく。

するとAIは、単発で答えを出すだけの道具ではなく、すでに決めた判断基準を使い、暮らしの下準備をしてくれる存在になります。

体調も予定も、冷蔵庫の中身も、その週によって変わります。だから私は、AIに生活を丸投げするのではありません。

繰り返し考えなくてよい部分だけを、仕組みにしています。

食事作りだけでぐったりしていたころ、私を疲れさせていたのは、料理の手間だけではありませんでした。一日中、頭の中に残っていた小さな判断でした。

一度考えて、次から考えなくてよい場所を増やす。

その分だけ、料理そのものや家族との時間、そして自分が本当に考えたいことに、少しずつ余白が戻ってきました。

AIは、そのための静かな道具のひとつだと思っています。

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